日本初の宇宙での生物学実験に使われた生き物は、
ニホンアマガエルでした。
1990年12月、アマガエルたちはソ連の宇宙ステーションのミールで8日間過ごしたようです。
アマガエルが宇宙に行ったというのは、なんとなく聞いたことがある・・・という程度でしたが、
論文を調べると、いくつも興味深いことがありました。
日本からソ連へ行ったアマガエル
相模原→成田→モスクワ→バイコヌール(打ち上げ基地)
のルートで輸送されたそうです(黒谷明美 1991 宇宙生物学実験のすすめ)。
なぜ相模原?と思いましたが、著者の所属が「宇宙科学研究所」でした。
現在は他2機関と統合されて、JAXAとなっています。
JAXA相模原キャンパスがあるので、おそらくその周辺で
採集されたアマガエルなのでしょうか(笑)
なんと400匹ものアマガエルを採集したようです!
そこから健康さや体色変化能などの点で82匹を選別、
それらを2集団に分けてソ連へ輸送、
そして宇宙ステーションにいくことになったのは6匹でした。
倍率はなんと、66倍。
宇宙飛行士よりも倍率が高い・・・と書きたいところでしたが、
宇宙飛行士の方が倍率が高く、宇宙飛行士選抜試験第一回が約177倍でした。。
長旅のため、輸送中のストレスなどによって死んでしまうカエルがいることを考えて
多めに採集していたのでしょうか。
真冬のソ連で過ごしたアマガエル
アマガエルたちが宇宙ステーションに行ったのは12月でした。
12月というと、アマガエルたちは冬眠している時期・・・?
しかも、真冬のソ連となると、日本より寒さが厳しそうです。
打ち上げ前の様子が以下のように紹介されていました(黒谷明美ら 1990 宇宙ステーション・ミールにおけるアマガエル行動学実験)。※PDF直リンク注意
・与える水は滅菌した相模原の市水を使用した
・打ち上げ10日前から絶食
(宇宙ステーション輸送中にフンでカエルが弱らないようにするためらしい)
・アマガエルは1か月近くの絶食に耐えられる
1カ月の絶食に本当に耐えられるのでしょうか(驚)。
冬眠中でもなければ1か月も絶食したらガリガリに痩せて
食べる元気もでなさそうですが・・・
1カ月耐えられると言っているだけで、健康ではないのでしょう。。
アマガエルの宇宙食は?
宇宙でのアマガエルの行動観察の項目に、摂餌行動も含まれていました。
宇宙食として、何を与えるのだろう・・・と興味深いですよね。
アマガエル6匹とともに宇宙ステーションに旅立った生き物たち(餌)は
ミールワーム(コメノゴミムシダマシの幼虫30匹)でした。
宇宙に旅立ったカエルたちは、6匹全員が無事生還し😃
そのうち2匹が解剖され😢
胃の中に有機物が認められたとありました(Yamashita et al. 1997)。
また打ち上げ10日前から絶食状態にあったことから、
宇宙でミルワームを食べたのではないかと言われています。
しかし、実際に宇宙飛行士がカエルの摂餌行動を見たり
ビデオでその様子を撮影はできていないそうです。
宇宙で食べるミルワームは格別に美味しかった
世界最初の宇宙飛行士ガガーリンのように
なにかしら名言をカエル語で話してくれたら面白いですよね(笑)
まとめ
以上、論文の本質(おそらく宇宙でのアマガエルの行動観察)ではなく、
個人的に興味深いと思った個所を取り出してみました(笑)。
もしも、皆さんが神奈川(しかも相模原)周辺でアマガエルを採集しているのだとしたら
そのアマガエルたちは、宇宙に行ったアマガエルの子孫?かもしれません。